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なぜ「移動時間」に、経営の判断が進むのか

コンサルタントという仕事柄、

地方出張が定期的にあります。

最近で言えば、京都、仙台、香川、甲府など。


正直に言えば、

時間効率だけを考えると、決して良いとは言えません。

移動時間は長く、

オンラインで済ませた方が早い場面も多い。


それでも私は、移動を完全に無駄なものとは思っていません。

理由は単純で、

会社や自宅で机に向かっているときよりも、

移動中の方が判断が進むことがあるからです。


これは感覚論ではありますが、

仕事を続ける中で、

少しずつ理由が見えてきました。



コンサルという仕事と、移動の非効率さ


私の仕事は、資料を作ることでも、

正解を即答することでもありません。

経営者が抱えている「迷い」や「整理しきれない状況」を、

構造に落とし、

どこへ進むのかを一緒に確定させることです。


その意味では、


  • 移動時間=作業できない時間

  • 出張=非効率


と見られるのは、もっともです。


ただ、実際の現場では

「何をするか」よりも「何をしないか」

「答え」よりも「問いの置き方」

が重要になる場面がほとんどです。


そうした判断は、必ずしも机の前では生まれません。



それでも、移動中のほうが思考が進む理由


① 判断を急がなくていい時間が生まれる


会社にいると、どうしても判断を急かされます。


  • メールが来る

  • チャットが鳴る

  • 次の予定が迫る


一方、移動中は違います。


新幹線でも、在来線でも、飛行機でも、

「今すぐ答えを出さなくていい」状態

自然につくられます。


この「答えを出さなくていい時間」が、

実はとても重要です。


判断が必要なテーマほど、

いったん答えを保留した方が、整理が進むからです。



② 身体が動くと、思考の固定化が壊れる


移動中は、

身体が拘束され、視界が流れ、環境が変わり続けます。


京都へ向かう新幹線、仙台までの長めの移動、

甲府へ向かう特急、

香川へ飛ぶ飛行機。

たまに利用する夜行列車のサンライズ瀬戸では、

夜の静けさも相まって、

普段とはまったく違う思考の深まり方をします。


場所が変わることで、

無意識に固定していた前提から、一度距離を取れる。


すると、

それまで行き詰まっていたテーマに、

別の切り口が見えてくることがあります。



③ 「やらない選択肢」が浮かびやすくなる


会社にいると、

どうしても「何をやるか」を考えがちです。


一方、移動中は不思議と、


  • これはやらなくていいのでは

  • 今は手を出さなくてもいい

  • 優先順位が違う


といった、

引き算の判断が浮かびやすくなります。


経営でも、仕事でも、

実はこの「やらない判断」ができるかどうかで、

結果は大きく変わります。



京都・仙台・香川・甲府──移動手段で思考の質は変わる


面白いのは、移動手段によって思考の質も変わることです。


  • 新幹線:論点整理や構造化が進む

  • 飛行機:一度思考がリセットされ、大きな視点で考えやすい

  • 夜行列車:言語化が深まりやすい


どれが正しいという話ではありません。

ただ、

「考える環境」は、意識的につくれるということです。



効率よりも「判断の質」が問われる仕事


短期的な効率だけを見れば、

移動はムダに見えます。


ですが、

判断が一段深まり、

無駄な施策を打たずに済み、

遠回りを避けられるなら、

結果としては、最短距離になることもある。

私はそう感じています。



おわりに:考える余白を、どうつくるか


経営者も、コンサルタントも、

常に会社にいる必要はありません。


むしろ、

重要な判断ほど、一度、物理的に現場から離れた方が

見えてくることがあります。


私の仕事は、

答えを押し付けることでも、

整理だけで終わることでもありません。


判断が生まれる余白を、どうつくるか。


その環境ごと、一緒に考えることだと思っています。



もし今、

何をやるかより「何を決めるべきか」で止まっているなら、

一度だけ、状況を整理する時間を取っています。





新井 庸支

株式会社ホワイトナイト 代表取締役。

中小企業の経営者と伴走し、判断が止まっている論点を整理しながら、

「何を決める話なのか」を明確にする支援を行っている。

答えを押し付けるのではなく、

経営者自身が納得して決断できる状態をつくることを重視している。


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