判断が止まるのは、経営者の責任感の大きさの表れである(中小企業経営者の判断の瞬間シリーズ④)
- 新井 庸支

- 1月14日
- 読了時間: 4分
更新日:6 日前
経営者の判断が止まる瞬間があります。
それは、迷っているからでも、
能力が足りないからでもありません。
多くの場合、
会社のこと、社員のことを真剣に考えているからこそ
判断が止まります。
決めた先に、
・誰の生活がどう変わるのか
・現場にどんな負担が出るのか
・もし外したら、その責任を誰が引き受けるのか
そうしたことが一気に頭に浮かぶ。
だから、簡単には決められない。
これは、経営者としての責任感の大きさの表れであり、
決して否定されるべきものではありません。
「相談していいのか分からない」と感じた時
判断の瞬間④は、
「相談するほどではないが、放っておくのも違う」
そんな感覚が生まれた時です。
最近、こんな相談がありました。
「やるべき方向性は、正直もう分かっている気がするんです。でも、決め切れなくて……」
詳しく話を聞くと、
事業の立て直しに向けた方向性は、
すでに頭の中にある。
数字も見ている。
選択肢も検討している。
ただ、その先に社員の顔が浮かぶ。
長く一緒にやってきた人のことが引っかかる。
「これを決めたら、あの人に負担がかかるなと思ってしまって、どうしても手が止まるんです」
この状態は、
判断できていないようでいて、
実はかなり深く考えている状態です。
判断が止まるのは、逃げているからではない
別の経営者は、こう言っていました。
「まだ最悪ではない。だから今すぐ決めなくてもいいのでは、とも思ってしまうんです」
一見すると、
先送りや逃げに見えるかもしれません。
しかし話を重ねると、
その背景には必ず、
これ以上、現場を混乱させたくない
不安を不用意に広げたくない
できるだけ穏便に進めたい
という、
強い配慮と責任感があります。
判断が止まる理由は、
覚悟が足りないからではありません。
覚悟があるからこそ、
軽々しく決められないのです。
ただし、止まったままでは状況は変わらない
問題は、この状態が長く続くことです。
判断が止まると、
会議が増える
情報だけが積み上がる
「もう少し様子を見よう」が繰り返される
そして現場は、
「結局、何を優先すればいいのか分からない」
状態になります。
ある経営者は、こう振り返っていました。
「決めていないつもりはなかったんです。でも気づいたら、半年近く、同じ話をしていました」
判断しないことも、実は一つの判断です。
しかし、その影響は、じわじわと広がっていきます。
経営者は、苦しくても判断しなければならない
経営者の仕事は、
楽な選択をすることではありません。
誰も傷つかない判断も、
全員が納得する結論も、
ほとんど存在しない。
それでも、
どこかで決めなければならない。
ただし、
それは気合や根性で押し切ることではありません。
多くの場合、必要なのは、
何を今決めるのか
何は今、決めなくていいのか
自分が引き受ける覚悟の範囲はどこか
これらを一度、
判断できる形に整理することです。
判断が止まる時間と向き合っていること自体、
それは経営者として、とても真っ当な姿です。
だからこそ、
その時間を「停滞」で終わらせず、
次の一手につながる時間に変えていく。
責任感がある経営者ほど、
一人で抱え込みがちですが、
判断を前に進めるための整理は、
必ずしも一人でやる必要はありません。
止まっている自分を責める必要はない。
ただ、そのまま止め続けない。
それが、経営者という役割に課された、
避けては通れない仕事だと
これまで300人近い経営者へご支援してきて
感じることでもあります。
「相談していいのか分からない」と感じた時点で、
それはすでに、
立ち止まって整理する合図かもしれません。
判断に迷う場面は、
一人で考え続けるほど、
かえって複雑になります。
もし、
理由は揃っているのに決められない、
そんな状態が続いているなら、
一度、
判断そのものを整理する時間を
持ってもいいかもしれません。
▶︎ 初回の整理セッション
※この記事は、
中小企業の経営判断を支援する
株式会社ホワイトナイト 代表・新井 庸支が、
実際の相談現場で感じた「判断の瞬間」をもとに執筆しています。

新井 庸支
株式会社ホワイトナイト 代表取締役
中小企業の経営判断を支援するコンサルタント。
戦略立案や施策提案そのものよりも、
経営者の判断が止まっている論点を整理し、
「何を決める話なのか」を
明確にする支援を行っている。
これまで、
地域企業・中小企業を中心に
経営・マーケティング・新規事業・組織づくりなど、
多様な相談に伴走。
答えを押し付けるのではなく、
経営者自身が納得して
決断できる状態をつくることを重視し、
「迷いを構造に変える」関わり方を続けている。
現在は、
判断が止まっている状態を言葉にするための、
初回の整理セッション(オンライン/60分)を中心に関わっている。
▶︎ プロフィール詳細https://www.whiteknight-jp.com/ceoprofile
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