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判断の瞬間②やるべきことは見えているのに、手が動かない瞬間

「やった方がいいのは、もうわかっているんです」


そう言いながら、

その経営者は

少しだけ目線を落としました。


資料も揃っている。

方向性も整理されている。

周囲から見れば、

「あとは動くだけ」の状態です。


それでも、手が動かない。


この場面は、

決して珍しくありません。


そして多くの場合、

外からはこう見られます。


「なぜやらないのか」

「覚悟が足りないのでは」

「優先順位の問題では」


でも、実際は少し違います。



このとき経営者の頭の中では、

「やるか/やらないか」

という単純な話は、もう終わっています。


本当に止まっているのは、

別のところです。


  • 途中で止めたらどうなるか

  • 思ったような成果が出なかったらどうするか

  • 一度始めたら、もう元に戻れないのではないか


つまり、

“やる”という判断と、

“最後までやり切る責任”を、

同時に背負ってしまっている状態

です。


これでは、重くて当然です。



話を聞いていると、

その方もこう言いました。


「中途半端になるのが一番嫌なんです」

「やるなら、ちゃんと結果を出したい」


とても真面目で、

誠実な言葉です。


でも、

この言葉が出ている間は、

判断が前に進みにくくなります。


なぜなら、

判断の段階で“完遂”まで引き受けてしまっているから。


判断とは、

本来もっと小さいものです。


  • 今日は着手するか

  • 試しに一部だけやるか

  • 一度やって、考え直す余地を残すか


それでもいいはずなのに、

無意識のうちに

「成功させるか、失敗するか」

という二択にしてしまう。


その瞬間、手は止まります。



ここで一度、整理します。


この場面で決めるべきなのは、

「うまくいくかどうか」

ではありません。


決めるのは、”今、どこまで引き受けるか”です。


  • 完成まで責任を持つのか

  • まずは一歩だけ踏み出すのか

  • 合わなければ引き返す前提で始めるのか


判断と実行を切り分けると、

選択肢は一気に軽くなります。



この方にも、

こんな問いを投げました。


「今、決めるのは 

“最後までやる”ことですか? 

それとも“一度やってみる”ことですか?」


少し考えてから、

こう返ってきました。


「…一度やってみる、でいいですね」


その瞬間、

空気が変わりました。


やるべきことは変わっていません。

でも、

背負っている重さだけが、

すっと下りた。


判断が動くときは、

こういう形で起きることが多いです。



やるべきことが見えているのに手が動かないとき、

それは怠慢でも、

意志の弱さでもありません。


多くの場合、

判断と実行を、同時に抱えすぎているだけ

です。


判断を小さく切り分けると、

行動は自然についてきます。



動き出したからといって、

すべてがうまくいくわけではありません。


でも、

「止まっている状態」から抜け出せた

という事実は残ります。


判断とは、

完璧な計画を立てることではなく、

次の一歩を決めること

なのだと思います。



判断に迷う場面は、

一人で考え続けるほど、

かえって動けなくなることがあります。


もし、

「やるべきことは見えているのに進めない」

そんな感覚が続いているなら、

一度、

判断の整理から始めてもいいかもしれません。


▶︎ 初回の整理セッションhttps://www.whiteknight-jp.com/firststep


※この記事は、

中小企業の経営判断を支援する

株式会社ホワイトナイト 代表・新井 庸支が、

実際の相談現場で感じた「判断の瞬間」をもとに執筆しています。


新井 庸支

株式会社ホワイトナイト 代表取締役

中小企業の経営判断を支援するコンサルタント。


戦略立案や施策提案そのものよりも、

経営者の判断が止まっている論点を整理し、

「何を決める話なのか」を明確にする支援を行っている。


これまで、

地域企業・中小企業を中心に

経営・マーケティング・新規事業・組織づくりなど、

多様な相談に伴走。


答えを押し付けるのではなく、

経営者自身が納得して決断できる状態をつくることを重視し、

「迷いを構造に変える」関わり方を続けている。


現在は、

判断が止まっている状態を言葉にするための、

初回の整理セッション(オンライン/60分)を中心に関わっている。


▶︎ プロフィール詳細https://www.whiteknight-jp.com/ceoprofile

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