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なぜ「いい商品なのに売れない」のか?中小企業が陥る3つの罠と解決策


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いい商品なのになぜ売れないのだろう?


技術力は大企業に負けない、でも認知度は...


日本の中小企業の技術力は、世界トップレベルです。

大企業の製品を支える部品の多くが、実は従業員数十人規模の町工場で作られていることをご存知でしょうか。精密加工技術、独自の素材開発、職人の手仕事による品質管理——大企業でさえ真似できない技術を持つ中小企業は、日本全国に数え切れないほど存在します。

しかし、残念ながら「技術力=売上」ではありません


どれだけ優れた商品を作っても、その存在を知られなければ、顧客の手に届くことはない。この当たり前の事実が、多くの中小企業にとって大きな壁となっています。

中小企業の最大の経営課題の一つとして「販路拡大」はよく挙げられます。つまり、「いい商品を作っているのに売れない」という悩みは、あなただけのものではないのです。

では、なぜこのような状況が生まれるのでしょうか?


陥りがちな3つの罠


多くの中小企業が、知らず知らずのうちに同じ罠に陥っています。


罠①「品質が良ければ売れる」という思い込み


「うちの商品は本当にいいものだから、使えばわかってもらえる」

この言葉、経営者の方から何度も聞いたことがあります。そして、その自信は間違っていません。実際、品質は素晴らしいのです。


しかし、現代の消費者は「使う前」に判断します

スマートフォンで情報を検索し、口コミを確認し、他社製品と比較する。その結果、選択肢として認識されなければ、どれだけ品質が良くても「試す機会」すら得られません。

昭和の時代なら、「いいものを作れば口コミで広がる」という成功法則が機能していました。しかし令和の今、情報量は爆発的に増え、消費者の選択肢も無限に広がっています。埋もれないための「見せ方」「伝え方」が、品質と同じくらい重要なのです。


罠②専門用語だらけやスペック主張で伝わらない商品説明


「当社の製品は、高精度CNC加工により公差±0.005mmを実現し、表面粗さRa0.2以下の仕上げを可能にしています」

技術者にとっては当たり前の説明でも、購買決定権を持つ経営者や一般消費者には、まったく響きません


特にBtoB商材の場合、決裁者は必ずしも技術に詳しい人ではありません。「それで、うちにどんなメリットがあるの?」という質問に、専門用語では答えられないのです。

優れた技術を持つ企業ほど、自社の技術を専門的に説明しようとする傾向があります。しかしそれは、顧客を置き去りにした「自己満足」の説明になっていないでしょうか。


罠③営業=売り込みという古い発想


「とにかく足で稼ぐ」「数を打てば当たる」——こうした営業スタイルは、一定の効果はあるものの、時代に合いません。

現代の営業は、「売り込む」ではなく「選ばれる」ための活動です。

突然の訪問営業や一方的な商品紹介は、むしろ顧客に嫌悪感を与えます。現代の購買プロセスは、顧客が自ら情報を集め、比較検討し、納得してから購入を決める「プル型」に変化しているのです。


この変化に対応できず、従来型の「プッシュ営業」に固執している企業は、効率も成約率も低下する一方です。人手不足が深刻な中小企業にとって、これは致命的な問題と言えるでしょう。


解決策:ストーリーで売る時代へ


では、どうすれば「いい商品」を「売れる商品」に変えられるのか?

答えは、「ストーリー」で伝えることです。


人は、スペックではなく「物語」に心を動かされます。商品そのものではなく、その背景にある想いや、それがもたらす変化に共感するのです。


なぜその商品を作ったのか(創業の想い)

あなたの会社には、必ず「原点」があるはずです。

  • 創業者が解決したかった課題

  • 開発のきっかけとなった出来事

  • 製品化までの苦労や挫折

こうしたストーリーは、商品に「人間味」と「信頼」を与えます。特に中小企業の場合、大企業にはない「顔が見える関係性」が強みになります。


「なぜこの商品が生まれたのか」を語ることで、顧客は単なる取引相手ではなく、あなたのビジョンに共感するパートナーになるのです。


どんな課題を解決するのか(顧客視点)

技術的な説明ではなく、「顧客の困りごと」を起点に考えましょう。


例えば、精密機器メーカーなら:

  • ❌「公差±0.005mmの高精度加工が可能」

  • ⭕「不良品の手戻りでお困りではありませんか?当社の高精度加工なら、一発合格率95%以上で手戻りコストを削減できます」


同じ技術でも、伝え方を変えるだけで、顧客の反応はまったく違うものになります。

もちろん相手があってのことなので、前者のほうが刺さる顧客もいると思います。ただ一般的には後者の考え方に立って考えてみると良い方向に行きやすくなります。


使った人がどう変わるのか(ベネフィット)

最も重要なのは、「この商品を使うと、顧客の未来がどう変わるのか」を示すことです。

商品の特徴(フィーチャー)ではなく、顧客が得られる価値(ベネフィット)を語る。これがストーリーマーケティングの核心です。


  • 時間を節約できる

  • コストを削減できる

  • リスクを回避できる

  • 新しい可能性が開ける


こうした「変化」を具体的にイメージさせることで、商品は「欲しいもの」から「必要なもの」へと変わります。


成功事例:地方の食品メーカーが全国区になるストーリーの作り方

イメージをもってもらうために実際の作り方に落としてご紹介しましょう。今までの話をイメージしてもらいやすいようにしています。フィクションではありますが、これに類似のケースは当社で30社以上の事績があります。


例:

ある地方の小規模食品メーカーは、長年「高品質な無添加調味料」を製造していました。品質には絶対的な自信があったものの、売上は地元の小売店での販売のみ。地元以外の知名度はほぼゼロでした。自社ECを立ち上げたものの売り上げは0です。


ここでこれまで書いた「マーケティング戦略の転換」でアプローチします。


まず、商品スペックではなく「おばあちゃんの知恵」を前面に出します。

この企業は、商品説明を大きく変更しました。

  • ❌「化学調味料不使用、食塩相当量1.2g/10ml」

  • ⭕「90歳の創業者が、孫に安心して食べさせたい一心で作った、昔ながらの製法による調味料です」


商品パッケージにも、創業者である「おばあちゃん」の笑顔の写真を大きく配置。レシピサイトでは「おばあちゃんの知恵袋」として、調味料を使った昔ながらの料理を紹介します。


さらに、地元の食材と組み合わせた「ふるさとの味」というストーリーを展開。商品の背景にある地域の歴史や文化まで含めて発信することにしました。


サイトでもおばあちゃんの思いを語り、レシピを掲載し、ECでの販売商品にもラインナップします。


認知拡大のためにはいきなり広告をするのではなく、PR Timesを使ったプレスリリース配布と地元テレビと新聞社へのリリース送付を行います。またSNSでもおばあちゃんの思いやレシピを発信するようにします。


こうしたきっかけ作りにより、この「おばあちゃんの想い」というストーリーが、SNSで大きな反響を呼び、「子どもに安心して食べさせられる」という母親層の共感を集め、地方の新聞テレビ番組でも取り上げられるようになり、その後全国ネットでも情報が拡散されます。ECサイトでの販売も全国から注文が来るようになります。


結果的にECの売上だけでなく、大手スーパーや百貨店からも取引の依頼が来るようになります。


ここまで商品の品質は何も変わっていません。変わったのは「伝え方」だけです。それだけで、埋もれていた商品が全国区のヒット商品へと変貌を遂げたのです。


食品だけでなく全業種において「伝え方」を変えることで、大きな変化をうむことができます。その根幹は素晴らしい商品・サービスがあるからです。埋もれていた本来の魅力を、適切な形で出すことができた形なのです。


まとめ:「伝える力」が中小企業の未来を変える


「いい商品なのに売れない」——この悩みの答えは、実はシンプルです。

商品の価値を、正しく、魅力的に伝えること


技術力や品質だけでは、もはや差別化できない時代です。しかし、あなたの会社にしかないストーリーは、決して真似できない最強の武器になります。

  • なぜその商品を作ったのか

  • どんな課題を解決するのか

  • 使った人がどう変わるのか

この3つを、顧客の視点で語り直してみてください。きっと、今まで見えなかった道が開けるはずです。


専門家のサポートが必要だと感じたら

「理屈はわかったけど、自社でどう実践すればいいかわからない」 「マーケティングに詳しい人材がいない」 「もっと具体的な戦略を立てたい」

そんな悩みをお持ちなら、中小企業専門のマーケティングコンサルタントに相談してみるのも一つの選択肢です。


株式会社ホワイトナイトは、2007年の設立以来、340社以上の中小企業のマーケティング支援を行ってきました。

  • 顧客満足度92%

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  • 行政機関からも多数の業務を受託


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この記事が「いい商品なのに売れない」と悩む中小企業の経営者様のヒントになれば幸いです。マーケティングは決して難しいものではありません。正しい方向性と実行力があれば、必ず道は開けます。

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