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後継者育成5年計画の立て方──“承継”は時間をかけて磨き上げる<事業承継ブログ 第2回>


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日本の地方では、経営者の高齢化とともに「後継者育成」が深刻な課題となっています。 後継者は社長交代の瞬間に育つのではなく、長い時間をかけて「次の経営者」としての資質を育てていく必要があります。 私自身、事業承継の現場に携わる中で、後継者育成には少なくとも5年ほどの時間軸が必要だと強く感じています。



1. なぜ5年計画が必要なのか


事業承継は、単なる「権限移譲」ではなく「経営の継承」です。 つまり、会社のビジョン・価値観・判断軸を後継者が体得する時間が必要になります。 特に地方の中小企業では、経営者と社員・取引先の信頼関係が非常に強く、「経営者=企業そのもの」というケースが少なくありません。 この関係性を一朝一夕で引き継ぐのは不可能です。だからこそ、早期から育成計画を立てることが重要になります。



2. 後継者育成の5年間ステップ


フェーズ

目的

主な内容

1年目

現場理解

組織を肌で知る

現場業務・社員・顧客理解を徹底

2年目

管理職経験

リーダーとしての自覚

部署責任者として意思決定に参加

3年目

経営参加

経営者の視点を持つ

経営会議に出席・計画策定に参加

4年目

経営執行

実行と成果責任

事業部やプロジェクトの責任を担う

5年目

承継

トップとしての覚悟

代表交代・ビジョン共有



3. 信頼を育てるのは「肩書き」ではない


後継者育成の最大のポイントは、「社内外の信頼を育てる」ことです。 社員・顧客・取引先が安心して後継者を受け入れるためには、「人間としての信用」「経営者としての判断力」が必要です。 ここを飛ばして“形式的な社長交代”をすると、承継後に社内が混乱するケースが非常に多く見られます。



4. 外部研修・異業種経験を積ませる


経営者は社内だけで育つものではありません。 地方企業では特に「井の中の蛙」になりやすく、視野が狭くなることがあります。 社外研修や異業種交流、MBA・リーダーシップ研修などを積極的に活用し、経営者としての視座を高めることが重要です。



5. 育成は“経営者の仕事”


後継者育成は、経営者自身が最も時間をかけるべき経営課題です。 早期から準備を進めることで、承継は「慌てて譲る」ではなく「安心して託す」プロセスに変わります。 事業承継は、会社の未来を預ける経営判断です。だからこそ、時間を味方につけましょう。


株式会社ホワイトナイト

コンサルタント(事業承継アドバイザー資格保有者)

新井 庸支

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