中小企業の事業承継、何から始める。自社の「資産」と「経営課題」を整理するために抑えるべきポイント
- 株式会社ホワイトナイト

- 6月22日
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この記事の要約
事業承継の第一歩は、自社の正確な現状把握(棚卸し)です。会社の数字の把握はもちろんですが、それ以外でも着手すべきことがあります。それは「財務諸表に載らない知的資産の可視化」「経営者の個人保証・個人資産の整理」「現時点での自社株評価額の算出」の3ステップ。これらを早期に整理することで、親族内・社内・M&Aのどのルートを選ぶべきか、経営者が正しい判断を下せるようになります。
「事業承継に向けて、そろそろ考えようか」
そう決意したとき、多くの経営者が「まず後継者を誰にするか」「税理士に相談して株をどう分けるか」といった“出口”の話から考えてしまいがちです。
しかし、実務の現場を見てきた中で、最も重要でありながら見落とされがちなのが、「そもそも、今の自社の状態を正確に把握できているか?」というスタートラインの確認です。
自社の強みや課題、そして「数字のリアル」を整理できていないまま進めると、後継者選びでミスマッチが起きたり、いざ承継する段階になって想定外の税金や借入金の壁にぶつかったりすることになります。
今回は、経営者が最初に行うべき「現状把握」の具体的な3つのステップを、実務視点で分かりやすく解説します。
本記事の目次
ステップ1:財務諸表には載らない「見えない資産(知的資産)」の可視化
会社の価値は、決算書の「純資産」だけで測れるものではありません。中小企業の本当の強みは、むしろ決算書には絶対に載らない「知的資産(見えない資産)」にもあります。
後継者が自信を持って会社を引き継ぎ、従業員や取引先がついてくるためには、この見えない資産まで、言葉や形にしておくことが望ましいです。
顧客・取引先との信頼関係: なぜ自社が選ばれ続けているのか。自社の強み。
独自のノウハウや技術: 現場の職人やベテラン社員の頭の中ある技術やスキル。
組織力・企業文化: 会社のビジョン、ミッション、仕組みなど。
「社長個人の力から組織の力に変えておく」
ここで最も注意すべきなのは、「それらの強みが、社長個人に依存していないか」という点です。「社長の人脈があるから仕事が来ている」「社長の勘で現場が回っている」ということは中小企業にはよくあることです。ただこの状態のままでは、どれほど優秀な後継者でも引き継ぐことはできません。強みを組織の仕組みにしておくことが、事業承継に向けては重要なポイントとなります。
ステップ2:経営者自身の「個人資産」や「個人保証」を含む現状の把握
事業承継は、会社の引き継ぎであると同時に、経営者個人の「人生の整理」でもあります。会社と個人が密接に結びついていることが多い中小企業。だからこそなかなか人に聞きづらい面もあります。ただ事業承継した後、経営者にも人生があります。だからこそ、嘘偽りなく現状を棚卸して把握することも重要です。
棚卸しすべき項目 | 具体的な確認内容とリスク |
金融機関の「個人保証」 | 会社の借入金に対して、経営者個人がどれだけの保証(担保)を背負っているか。後継者への引き継ぎや解除の交渉が必要になります。 |
会社への「役員借入金・貸付金」 | 社長が会社にお金を貸している(または借りている)場合、その金額。 |
個人の資産構成 | 自社株以外に、自宅不動産や現預金がどれだけあるか。後継者以外の子どもがいる場合、遺産分割のバランス面で重要なポイントとなります。 |
これらを早い段階で整理し、関係者に開示できるようにしておくことで、「後継者に個人保証を引き継がせないためにはどうすべきか」「親族間で揉めないためにどう資産を分けるか」という具体的な解決策が見えてきます。話しづらい内容ではありますが、だからこそ早めに整理をしておきましょう。
ステップ3:現時点での「自社株の評価額」を今すぐ知るべき理由
「うちの会社は上場していないから、株の価値なんてあってないようなもの」とか「株の価値なんてよくわからない」と思っていませんか。
自社の株価を算定せず、把握せず、承継を進めると、以下のような致命的な問題が発生します。
想定外の税金負担: 親族に贈与・相続する際、数千万円〜数億円の贈与税・相続税が突然課されるリスク。
買い取り資金の不足: 社内承継(役員・従業員)やMBOを目指す際、後継候補者が株を買い取れない。
譲渡後の経営者の受取額の不足:譲渡後のライフプランを立てていても、想定に及ばない金額であった場合、プランが崩れます。特に、業績が好調な企業ほど「自社株の評価額」は、経営者の想像を超えて高額になっているケースも起きやすいというリアルな面もあります。
株価は、会社の利益水準や資産状況によって毎年変動します。「今の自社の株はいくらなのか」を提携している税理士やコンサルタントに依頼して試算してもらうことが、税務対策や資金計画を正しく考える上での目安になります。
現状の「整理」が、事業承継における正しい「判断」を生む
事業承継の準備とは、暗闇の中で道を探すようなものです。いつまでに、何をやれば良いのか。また、それを進めるうえで、どんな点に気をつければ良いのか。多くの方は手探りで動いています。まずは、自社の「見える価値(数字)・見えない資産」「個人資産や個人保証の確認」「株の価値の算定」という3つのポイントがクリアになれば、進むべき道は見えてきます。
例えば、当初はすぐに親族内継承を行いたいと思っていたとしても、実際に課題が見えた後には、こんな打ち手が出てきます。
「算定された株価が高すぎて、親族内では引き継げそうにないからM&Aを検討してみよう」
「社長個人の力で仕事が取れている面が大きいの、仕事の属人化をなくすために、まずは2年かけて実務のマニュアル化を進めよう」
こうした判断は、すべて正確な現状把握から生まれます。焦って実行案を進めてしまう前に、まずは自社の棚卸しから始めてみませんか。
次回は、整理された現状をベースに、経営者が進むべき道を判断するための「3つの事業承継ルート(親族内・社内・M&A)の徹底比較」をお届けします。

株式会社ホワイトナイト
2007年会社設立以来、18年間にわたり、中小企業に特化し、全国各地約400社以上の経営・マーケティング支援を行っている。ご契約企業の90%以上の業績を向上させたという実績を継続している。
事業承継だけでなく、経営戦略、人事、組織、営業、マーケティング、DX、AI活用、PR、M&Aまで精通し、中小企業のあらゆる課題を解決に導くプロフェッショナル。
代表の新井 庸支は、民間コンサルや顧問だけでなく、公益財団法人東京都中小企業振興公社や独立行政法人中小企業基盤整備機構のアドバイザーもつとめている。また、事業承継の資格保有者でもある。また商工会議所(2025年は40回)、企業や大学などでのセミナー・講演も多数実施している(プロフィール:https://www.whiteknight-jp.com/ceoprofile)



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