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「卸より高く売れる」だけで直販を始めてよいか。EC投資の前に確認したい採算と現場

9月25日
読了時間: 4分

EC投資の前に確認したい採算と現場
EC投資の前に確認したい採算と現場

卸先への販売価格と、ネットで売られている小売価格。その差を見ると、自社でも直接販売すれば利益を増やせそうに思えます。既存事業に加えてECを検討する社長にとって、魅力のある選択肢です。


ただ、小売価格で売れることと、会社に利益が残ることは別です。サイト制作を発注する前に、直販によって増える仕事と費用まで含めて比べておきたいところです。


■販売価格の差を、そのまま利益にしない


卸では取引先が担っていた集客や小口配送、購入前後の問い合わせを、直販では自社や委託先が引き受けます。商品原価だけを引いた金額で判断すると、その負担が抜け落ちます。


まず候補商品を一つ選び、一注文あたりの受取額から、商品原価、決済手数料、梱包資材、配送費などを引いてみてください。送料を購入者から受け取る場合は収入にも入れ、税込・税抜の基準をそろえます。その残りから、集客費や運営費をどこまで賄えるかを検討します。


ここで出る金額は最終利益ではありません。返品対応、保管、システム利用、担当者の人件費なども別途必要です。原価に含めた費用を再び引かないよう、経理担当者と計算の範囲をそろえます。損益計画では売上原価だけでなく、販売や管理にかかる費用を見込んだ形にしてください。


■「担当者がいる」から、回せるとは限らない


出荷担当者がいる会社でも、卸向けのまとまった出荷と、個人宅への小口発送では作業が変わります。受注確認、梱包、送り状、問い合わせ、返品。それぞれ誰が担当し、既存業務のどの時間を使うのかを確認します。


社長だけで見積もらず、出荷と営業の担当者に、注文受付から発送までの手順を実際に追ってもらうと、必要な作業を拾えます。外注するなら、基本料金のほか、保管、出荷、返品などの料金条件を確認してください。


たとえば、食品メーカーが家庭向けセットを販売する場合を仮の例として考えます。商品の詰め合わせが売れても、その作業で卸向けの納品が遅れるなら、直販だけの収支では判断できません。卸と直販が同時に忙しくなったときの出荷上限も、先に決める必要があります。


■既存の取引先とEC、何を売り分けるか


次に、営業担当者と卸先での販売状況を確認します。同じ商品を自社だけ安く売る計画になっていないか。直販に在庫を回した結果、既存取引への供給が不安定にならないか。この二つは見落としたくありません。


直販向けに容量や組み合わせを変える、贈答用など購入目的を分ける、まず対象商品を限定する、といった選択肢があります。ただし、セットを変えるだけで需要が生まれるわけではありません。誰が、何のために、送料を含む価格で買うのかを確かめます。


ECサイト制作に先立って客層や商品、価格などを具体化することが重要です。既存商品の一覧をそのまま載せる前に、最初に売る商品と買う理由を決めたいところです。


■全面展開、小さな試行、保留を比べる


採算と作業体制が見えているなら、販売開始に向けて進められます。需要だけが不明なら、商品数や受注数を絞った試行が候補です。担当者も出荷能力も確保できないなら、開始を保留し、既存販路の改善に予算を使う判断もあります。


試す場合は、開始前に見直す日と判断基準を決めます。注文数だけでなく、販売に伴う費用を引いた残額、作業時間、問い合わせ対応、既存納品への影響を記録します。繰り返し買ってもらう計画なら、初回注文の赤字を将来の購入で埋める前提が妥当か、実際の再購入も確認します。


■最初の打ち合わせに持ち寄るもの


まず、候補商品の原価と卸の販売条件、直販の価格案、配送・決済・外注の見積、担当者の作業予定を一枚にまとめてください。社長、営業、経理、出荷の担当者で、分かっている数字と未確認の数字を分けます。未確認の項目には、確認する相手と期限を書きます。


ホワイトナイトの単発相談では、こうした材料をもとに、販路の選択肢や取り組む順序を検討できます。制作や運営を社内にするか外注先にするか、直販に進むか、限定して試すか、今は見送るかを考える相談です。自社の条件で比較したい場合にご利用ください。


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