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現在、なぜクリエイティブが響きにくくなったのか?

執筆者の写真: 新井 庸支新井 庸支

今日のテーマは「なぜクリエイティブが響きにくくなったのか?」ということについて、私見に近い形で書かせていただきます。


CMが注目されなくなり、グラフィック広告も注目されなくなって久しいです。むかしはCM大賞のようなテレビ番組が多くあったり、グラフィック広告で話題になるものもありました。しかし、今やCMやグラフィック広告の話題を街中で聞くこともありませんし、人々の話題にのぼることもあまりありません。広告業界だけは、いまだにXX賞受賞みたいなPRをしていますが、世間からの注目度は10年、20年前、30年前と比べるとどんどん下がっています。


ここまでクリエイティブが響かなくなった理由はいろいろあります。大きなものとしてはインターネット、ソーシャルメディアの出現によって、人々が自分自身や自分に近い物事を発信できるようになり、それが話題の中心になることが増えたことでしょう。


多くの考察がされる中か、あまり話題にならない点を、今日はお伝えしたいと思います。


クリエイティブとイベント(プロモーション)ということで、話をさせていただきます。日本の歴史をひもといてみると、クリエイティブが話題になったのは、比較的余裕のある時代だったように思います。例えばCM全盛期は高度経済成長期からバブル崩壊前までです。この時代、経済はどんどん伸びて、生活が豊かになった時代です。もう一つクリエイティブが豊かだった時代としては平安時代があります。短歌が人気になった時代、つまりコピー・小説ようなクリエイティブが人気になった時代です。江戸時代の一時期も、俳句・浮世絵・絵画などが人気になりました。こう考えると、経済の成長期か成熟期、つまり人々の心に余裕がある時代にクリエイティブが人気になっているように思われます。現代は、一部の大企業をのぞいて、多くの国民の生活に余裕はありません。また将来に向けての不安もあります。こうした中では、クリエイティブをゆっくり味合うような余裕はないのかもしれません。


では、上記の時代以外で、人々が何に向かったのかを考えると、それはイベントのようなことではないかと思います。いろいろ大変だけど、みんなで盛り上がって楽しくなったり、明るい未来を祈って集まったりというようなことです。祭もそうですし、江戸時代のええじゃないか運動なども、もしかしたら主張というよりも、みんなで楽しもうという気持ちで参加したひつもいるかも少なくないかもしれません。


こう考えると、現代、「体験」ということがマーケテイングで重視されているのも、時代の流れにそぐうものということになります。何かのイベントがあると、参加して、体験して、SNSで発信していく。誰かが作ったクリエイティブより、自分が参加するイベントの方が良いのです。


いろいろな側面、いろいろな考察ができますが、長い日本の歴史から、今のマーケティングの現状をみると、このような視点もあるかと思います。専門に研究しているわけではありませんが、実務家としての視点を踏まえた私見としてお伝えさせていただきます。


この先、日本経済が劇的に上向きにならないならば、クリエイティブよりもイベントを重視してマーケティング戦術を考えてみてはいかがでしょうか。


株式会社ホワイトナイト

新井 庸支





 
 
 

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