
なぜ中小企業にブランディングが必要なのか? - 3年計画視点が企業成長を後押しする
こんにちは。マーケティング・経営コンサルタントの新井です。
私は中小企業に特化し、全国各地の中小企業の経営者様に、マーケティングの戦略から実行を中心に、経営やメンタル面まで、経営者の抱える課題全般の解決のサポートをさせていだいています。これまで200社以上のコンサルをさせていただいており、日々全国各地を訪問しています。
今回のテーマは「なぜ中小企業にブランディングが必要なのか? - 3年計画視点が企業成長を後押しする」です。
ブランディングを重要だと考えている中小企業経営者は空くなるありません。ただ、その一方で、どう進めれば良いのか。すぐに売りに繋げる他の施策との優先順序をどうすれば良いのか。こうした悩みを抱えて、当社に相談に来られる方がいるのも現実です。本記事では、中小企業にとってのブランディングのメリットと、実際にブランディングを進めるべきか、また進める時にはどうしたら良いのかについて解説します。
ブランディングとは何か
ブランディングとは、単にロゴやキャッチフレーズを作ることではありません。顧客の心の中に、自社や製品・サービスに対する明確なイメージや価値観を築くプロセスです。つまり、顧客があなたの会社や製品を思い浮かべたときに、どのような感情や印象を持つかを戦略的に形成していくということです。ブランドイメージ作りにはロゴやキャラクターといったものから、企業全体の雰囲気のようなものまでさまざまです。ブランディングがあると、顧客とのコミュニケーションのスピードが速くなります。認知して、理解して、検討して、購入してというプロセスが短縮されます。指名買いなども期待できるようになります。つまり、売上増加を強力に後押ししてくれることに繋がります。
中小企業にとってのブランディングのメリット
差別化
強力なブランドを構築することで、価格競争に巻き込まれにくくなります。つまり、価格で勝負するのではなく価値で勝負しやすくなります。顧客はブランドに対して支払う意思があるため、適切な価格設定が可能になります。
信頼性
中小企業は、大企業に比べて知名度が低いことがほとんどです。ブランドイメージの確立により、取引先、最終顧客ともに信頼を獲得することができます。
顧客獲得単価の低減
強力なブランドは、顧客の心に深く根付きます。これにより、顧客は貴社を選び続けるようになります。顧客維持コストは新規顧客獲得コストよりも低いため、結果的に経営効率の向上にもつながります。
従業員のモチベーション向上
自社の価値観や目標が明確であれば、従業員はより高いモチベーションを持って働くことができます。離職率の低下だけでなく、優秀な人材の採用にも役立ちます。
市場プレゼンスの向上
適切なブランディング戦略により、自社の存在感を市場で高めることができます。これは、新規顧客の獲得や、ビジネスパートナーとの関係構築に大きく寄与します。
中小企業がブランディングを進める時に留意すべき点
強みの明確化
企業ブランディングであれば企業のビジョン・ミッション・パーパス、商品ブランディングであれば、商品の強みや特徴を明確にしましょう。何が他社と異なるのか、どのような価値を提供できるのかなどを明確にしましょう。
ターゲット顧客の定義
大企業はできるだけ多くの人に向けたブランディングになりますが、中小企業は大企業とおなじようにブランディングをする必要はありません。誰に向けてのメッセージなのかをめいかくにしましょう。ターゲット顧客のニーズや価値観を深く理解することも重要です。
ブランドストーリー
自社の歴史や理念、目指す未来などを物語として構築します。ブランディングにおいて、人は数字やデータよりも、ストーリーに心を動かされます。
ビジュアルアイデンティ・デザイン
ロゴ、フォント、カラーなど、視覚的要素を一貫させることは必要です。またブランドの利用方法についてはルールブックを作ることをお勧めします
一貫性
ウェブサイトやソーシャルメディアを含む企業のマーケティング活動全般で、一貫したメッセージを発信します。かつてはTV、新聞など限られた露出方法でしたが、今はオンラインもでの一貫性も重要です
顧客体験の向上
かつてブランでイングといえば、キービジュアルとキャッチコピー的な部分がありました。しかし今はこうしたもの以上に、顧客との接点を重視すべきです。製品品質はもちろん、カスタマーサービス、アフターフォローなど、全ての顧客接点でブランド価値を体現することが重要です。ビジュアル=ブランディングという意識は捨てましょう。
社員教育
社員ひとりひとりがブランドの価値観を理解し、体現できるよう教育します。
地域社会との関わり
地域に根ざした活動や社会貢献を通じて、ブランドの価値観を示します。地域の中小企業にとっては欠かすことのできない重要な視点です。
ブランディングの効果測定
ブランディングの効果測定は難しいと思われがちですが、測定することは可能です。
ブランド認知度
顧客満足度や推奨度
リピート率
新規顧客獲得コスト
社員満足度や社員定着率
メディア露出数や広告費換算
「売り」か「ブランディング」かの議論
大企業の場合、売りに繋げる商品・サービス広告と、イメージを高めるブランディングを同時に行う資金があります。しかし、中小企業は必ずしもそうではありません。今までの経験上、限られた予算の中で、今売るためのマーケティング施策を取るのか、将来を見据えたブランディングをするのか議論になることも少なくありません。
これらは、白か黒、YESかNOで判断すべきものではないのです。3年単位くらいでマーケティング計画を立てます。その上で1年目の目標・手段、2年目の目標・手段という形に落とします。さらに四半期や月次単位でブレイクダウンして作りますそうしていくと、いつ、どの段階、誰に、どんなことするのかが決まっていきます。売りをブランディングを合わせて考えることにより、それらが本来持っている強みを最大限発揮できるようなシナジーが作れるのです。3年スパンの計画がないと、遠くても半年先くらいまでしか考えられないので、売りなのかブランディングなのかという議論になってしまうのです。
暫定でも良いので、マーケティング3年計画は作るべきでしょう。
これがあることで、経営者は経営方針がより伝えやすくなりますし、マーケティング担当は仕事がやりやすくなりますし、営業部門は売りやすくなりますし、開発部門はあらたなアイデアなども浮かびやすくなるでしょう。なにより「売り」か「ブランディング」か議論はほとんど出なくなります。
ブランディングは一朝一夕には完成しません。継続的な努力と、時には試行錯誤が必要です。しかし、その努力は必ず報われます。強力なブランドは、中小企業の最も価値ある資産の一つとなり、持続可能な成長と成功をもたらすでしょう。
ブランディングを含めたマーケティング運営の良い流れを作るには、当社のような経験と実績があるプロが、コンサル・ファシリテーターとして入った方がうまくいきます。特に最初のフェーズである整理・計画策定だけでもプロをいれると、うまくいく可能性、進め方が楽になる可能性は高くなります。
Comments